’02.3.5

 私のHNにもなっている「ちな」は、今から5年前の3月25日にこの世を去りました。

 ちなが生まれたのは、今から15年前の10月。つぶやゆめ、ななと一緒にニャンニャンから生まれました。生まれたばかりの頃は、人間に対して全く不信感等抱かずに、何をされてもされるがままの素直で大人しい、でもちょっと器量の良くない子猫でした。それがいつの間にか触られるのも、抱っこされるのもイヤ。人間は私を含めて統べて、「恐い存在」としてちなの心の中にインプットされるようになってしまったのです。

 その頃の私は、毎朝7時前に家を出て、帰って来るのは夜9時を過ぎる生活をしていました。住んでいたマンションは、元々は父の所有する物件だったのですが、今の仕事に変わる為に手放し、所有者が変わってもネコと一緒にその場所で暮らしていました。マンションを管理する不動産屋さんが週に1度、清掃の為に訪れていました。たまにその日に在宅していると、玄関のドアをいきなり開けられたり(それも鍵を開けて!)していたので、ちなの人間嫌いはこんなことが理由だったのでは?と思っていました。

 子猫の頃は器量が悪くても、人懐こくて可愛い存在だったのが、その器量が良くなるに連れ、だんだんと人を避けるようになって育ったちなは、私の手を焼く存在になって行ったのです。他のネコ達は、私が帰宅すると待ちかねたように玄関へ出迎え、一歩家に入るとその足下にまとわり着きましたが、ちなは私の顔を見ると部屋の扉の影に隠れ、御飯を食べる時さえも、背後をすごく気にしながら、ちょっとでも物音がしたら逃げ隠れる様にまでなって行ったのです。

 ちなが5歳のお誕生日を迎える年に、今の団地に引っ越す事になりました。ちなの人間嫌いは相変わらずでしたが、引っ越しをする半年くらい前からは、私がベッドの上にいて手を伸すと、その手にすり寄って来るくらいにはなっていました。それでも私がベッドの上からちょっとでも身体を動かそう物なら、一目散に手の届かない場所へ逃げる事は変わりませんでした。

 今の家に引っ越して来て、私がいない時間に知らない人が勝手にドアを開けるような事もなくなり、ちなの私に対する態度はだんだんと変化するようになって来ました。ベッドの上にいる時だけに近寄って来るのではなく、居間に座っている時でも私に身体を擦り付けて歩いていったり、すぐ近くに座っている事も多くなりました。その姿を見て、ちょっとは安心して暮らせるようになったのだなと思い、私も嬉しく思った物です。

 前の家では捕まえる事が出来なかったちなが、だんだんと私の手の届く場所にいるようになった事で、ちなの避妊手術をすることになりました。そしてその手術を境に、ちなの生活は一変することになったのです。

 避妊手術をした事で、ホルモンバランスが崩れてしまったのか、それまでは普通に食事を取っていたのが物凄く良く食べるネコに生まれ変わってしまったのです。御飯の量はもちろん、人間が食べるもの全部がちなの食欲のターゲットになりました。それはパンの類いやお煎餅、酷い時にはチョコレートや飴の袋にまで、ちなの噛み付いた歯形が付いていた程です。ペットフードも缶詰めは自分で開けられないけれど、ドライフードなら袋の横から穴を開けてしまうので、買って来た物を手の届かない場所に隠さなければならないようにもなってしまいました。

 食事の量が増えれば、それはそのままちなのお肉に変身します。それまでは普通サイズだったのが、プクプクとして首の後ろのお肉が段になる程までになりました。猫のプクプクさ加減はその猫の幸せのバロメーターにも思っている私は、食欲の増大には頭を悩ませていましたが、ちなの表情の柔らかさには満足をしていました。でもその満足は、2年程しか続かなかったのです。

 ちなは食欲はそのままで、今度はだんだんと痩せてきてしまったのです。(つづく)