’01.10.2

 はんにゃんは失踪しためめの兄妹です。妹の住んでいたアパートに、真っ白い母ネコとめめと一緒に住み着いていたのが縁で、私の家へ来る事になったのです。

 数日前から部屋の前に可愛い野良猫親子がいるから是非見に来て欲しいと妹に言われてました。でも家には8匹のネコがいたのでそれ以上数を増やす気は更々なく、たまたま用事があり出向いた時に、野良猫なのに妙に人懐っこい母ネコとまだまだ足下が覚束ない生まれて数週間のめめとはんにゃん、対面したのはまだ春とは言いがたい冷たい風の吹く97年2月の末頃でした。

 片手の平に載せてもまだ手の面積があまる程のサイズの2匹は、お世辞にも可愛いとは言いがたい薄汚れた白毛のしっぽの長いネコでした。顔を覗き込む私に一人前に「シャー、ハー」と威嚇し、母ネコの為にお裾分けしたマグロの刺身を、歯の生えていない小さなピンク色の口で一生懸命に嘗め取ろうとしていました。

 白ネコ親子に出会って数週間後、妹が私にある提案をしてきました。それは「めめとはんにゃんに掛かる一切の費用を自分が持つから、2匹を引き取って育てて欲しい」と言う事でした。妹のアパートは賃貸、そして近所には動物が嫌いな人が多く、白ネコ親子がこのままでは幸せに暮らして行く事は無理な様子で、子猫だけでもどうにか幸せにしてあげたい一心からでした。でも私にとってこの提案を了解するには色々な問題が多く、またまだ親離れしていない子猫を引き離す事は酷に思われて、すぐにはうなずく事は出来ませんでした。なかなか了承しない私に対して妹の口説きは毎日のように続き、1ヶ月も経つ頃には私もある程度の条件をクリアしたなら保護しても良いと思うようになっていったのです。

 そんなある日の事、妹が白ネコ親子を部屋に入れる事に成功したと連絡してきました。外の空気を吸って生活しているネコを、室内で飼い馴らすのは努力がいります。餌をやり、落ち着いたと思ってもしばらくするとどうしても外へ出たがるので、まず室内に慣らすことが子猫を受け取る第一条件でした。その晩、白ネコ親子は妹の部屋に一泊して、翌日また外の生活へと戻って行きましたが、なんども成功と失敗をくり返して結局子猫2匹だけを室内に残す事が出来るようになった時、まずめめがキャリーに入れられ我が家へと連れて来られたのです。

 めめが先に連れて来られたのは、はんにゃんに比べて人慣れしていて捕まえやすかったから。はんにゃんはその後も母親と一緒にしばらく外の生活をしていました。その間に近所のおじさんに追い掛けられ、親子の住処にはたまねぎが蒔かれて居場所がなく、はんにゃんの神経質で内向的、妹以外の人間は恐いと言う思いに拍車が掛かって行ったのです。